illustration by Mariko Anndou
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スペインのバスク地方の言語で
「記憶」という意味。

不思議な懐かしさ…。人の記憶に届く料理…。

現代スペインの料理は、
斬新であるようで何処か懐かしさを感じます。
それは伝統にある或いは自分の生まれ育った地方の家庭の料理が
ベースにある事が由来になっているからです。

元の姿に戻すこと、それを今の感性で捉え表現する事が
現代スペインの基本であり、
私がこれから創り上げてゆこうと考えている料理です。
それは現代スペインで多く使われる素材や表現を真似するだけでなく、
その基本の哲学を持って料理を創ってゆくということです。

私はフランス料理はクラシック音楽で言う絶対音楽だと考えています。
つまり何か一つの事を音楽によって表現するのではなく
音楽をもって音楽を表現するように、
全体の味として料理を創り上げてゆくもの。

一方で私が感じてきた、スペイン(特にムガリツ)の料理は標題音楽で、
何か表現したいものがありそれを音楽にしてゆくと言うスタイルだと思います。

私はそこに人の記憶に有る物に訴えると言う事をプラスしたいと思っています。

「これ何処かで食べたよね」、
「なんか知ってる味だよね」、
「何処かでかいだにおいがする」とか、
記憶に由来する人の主観に問い掛ける料理が出来ればと考えています。

スペインから戻ったときに、奈良の奥に住む叔父の家に挨拶に行きました。
叔母が畑の脇の土手に出て芹を摘み、その場でお浸しを作って出してくれました。

私は叔母の芹のお浸しを食べた事はありませんでしたが、
とても懐かしく、ずっと前から知っていたような気持ちになりました。
大事な事はここです。
スペインで超現代的な料理を食べているのに感じる不思議な懐かしさ。
味付けではなく、味わいや優しさを感じ、記憶を刺激する料理。
それを現代に表現するのが私の方向性であります。



私はこのスタイルを、今まで学び従事してきたフランス料理から敢えて離れ、
もう一度一から作り上げて行きたいと考えています。
未知数ではありますが、カテゴリーを超え、
アコルドゥ独自の世界と料理のチャレンジしてゆきたいと思います。
そしてそれを皆様に伝える事が出来れば幸せです。

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